子育て奮闘中のパパママたちは、最初に生えてきた真っ白でちっちゃなわが子の前歯にきっと感激したことでしょう。このまま健やかに成長し、乳歯から永久歯へ、虫歯のない美しい歯並びの、笑顔の素敵な人になってほしいと願っているに違いありません。
でも今、歯並びの悪い子が増えています。その原因は現代の食習慣や生活習慣など、さまざまな「変化」が影響しています。
あなたのお子さんを「歯並びのいい子」に育てるために、今からどんなことができるでしょうか。「歯並びが悪い」と聞くと、歯の並び方の問題と考えてしまいがちですが、現代の子どもは歯よりも「あごの骨」に問題があります。
歯の生える土台となる「歯槽骨」が永久歯列の大きさに対して小さい、というのが歯並びの悪さの大きな原因なのです。ではなぜこんなにあごの骨が小さくなってしまったのでしょう?現代っ子の食事時間はおよそ11分、咀嚼回数は660回で、これは昭和初期の子どもの半分です。
よく噛まなくても食べられるものを好む「軟食傾向」が進み、その結果、あごの骨が十分成長せず、歯並びの悪い子どもが増えてきてしまったのです。歯並びを悪くさせるその他の原因には口呼吸や指しゃぶりなどのクセもあげられます。寝るときの姿勢も重要です。
うつ伏せでいつも寝ている子は、同じ側の頬を下にしがちなので、上の奥歯が横にずれて下の奥歯より内側に入り込む交叉咬合になることがあります。また頬づえをつくクセのある子や、横にあるテレビを見ながらいつも食事をするという子も要注意です。
*赤ちゃん期(0~2才)
乳歯は生後6カ月くらいから生え始め、3才くらいまでに生えそろいます。きれいな歯並びを実現させるためにも、まず大切なことは「乳歯に虫歯をつくらないこと」です。乳歯が生えてきたら、子どもには自分用(歯がため)と、お母さんには仕上げ用の2種類の歯ブラシを用意しましょう。
離乳食の時期に育てたいのは「おいしそう!」と感じる心と、「食べてみたい!」という欲求です。味覚の幅を広げ、かみごたえをプラスしてみてください。*乳歯列期(2~6才)
2~3才の時期にいちばん奥の第二乳臼歯が生えてくれば乳歯列が完成です。この時期の乳歯列はたいがいすき間なくきれいにそろっています。
ここから5~6才まではこの乳歯を使って何度もしっかりかんで、あごを大きく育てていかなくてはならない大事な時期です。子ども自身にも「自分の歯は自分でみがく」という意識をもたせたいものです。指しゃぶりも4才になる前には卒業しましょう。そして5才を過ぎるころになると、前歯の1本1本の間にすき間ができてきます。
これはしっかりあごが成長して、大きな永久歯が生えてきた時のためのスペースが確保できたということです。反対にすき間なくきれいに乳歯が並んでいるようならこれはかえって心配です。
かかりつけの歯科医院で相談してみるとよいでしょう。*混合歯列期(6才~12才)
乳歯から永久歯に生えかわるとき、最初に生えてくるのが第二乳臼歯の奥、第一大臼歯です。この歯は一般的に6才前後に生えてくるため「六才臼歯」とも呼ばれています。
しっかりあごが成長して、六才臼歯がまっすぐに生えるだけの奥行きができているでしょうか? この歯は噛む力が最も強く、噛み合わせの要となる重要な歯です。
歯ブラシの届きにくい六才臼歯を虫歯にしないために、六才臼歯からみがき始めるように意識してみましょう。そして第一大臼歯の萌出の時期と前後して下の乳中切歯が生え代わり始めます。
上の乳中切歯の生え代わりは少し遅れて7歳頃です。その後6年ほどの間はこっちが抜けてあっちから生えて…というように常にでこぼこ状態を繰り返し、20本全ての乳歯が24本の永久歯に入れ替わります。
*永久歯列期(12才~)
12才くらいになると、一番奥の第二大臼歯が生え始めます。そして15才頃までには親知らずを除く28本の永久歯列が完成します。
ちなみに親知らずは18才前後に生え始めます。あごの発育を促すのには、「和食」がおすすめだそうです。
洋食に比べて根菜、乾物、海藻や小魚など、噛みごたえのある食品が豊富に使われているのが魅力です。食事中の座り方や姿勢にも注目してみましょう。
椅子に座って足をブラブラさせて食事していませんか? 正座で食事する子は足がしびれて横にくずして座ってしまうことが多くありませんか?
足を乗せる踏み台を置いたり、正座用の座イスなどで姿勢を安定させることで、噛み合わせの面積や噛む力もぐんとアップしますよ!