「何日も便が出なくておなかが張る」「便が硬くていきんでもなかなか出ない」「残便感がある」などの不快な症状が続く便秘。
口に出す人は少ないものの、女性はとくに便秘で悩んでいる人は多いはず。便秘のタイプは人それぞれ違うけど、主にどんなタイプがあるのか、またタイプ別の効果的な改善方法など、今号では多くの人のお悩み『便秘』について紹介します。
2017年、日本では便秘の定義(※)を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」としました。
※日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会(編集):「慢性便秘症診療ガイドライン」よりそれは排便の回数や量が少ないことに限らず、回数や量は問題がないと思われても“残便感がある”場合は「直腸内にある糞便を快適に排出できない状態」=「便秘である」ということになります。
大腸のぜん動運動(腸のくびれが肛門方向に伝わっていくこと)が弱くなり、内容物をスムーズに送り出すことができないために起こる症状:
・常におなかが張っている感じがする
・下剤を使わないと便が出ない
・便意をあまり感じない
・1週間近く排便がないこともある運動不足だったり、野菜などの食物繊維が不足していると弛緩性便秘を招きやすい。
胃に食べ物が入るとぜん動運動が活発になるため、朝食を抜く習慣のある人は弛緩性便秘になりやすい。
高齢者や出産後の女性に多い。極端なダイエットも誘因になる。
ストレスの影響を強く受けて起こる症状:
・おなかの張りや痛みがある
・急に激しい便意が起こることがある
・便秘と下痢を交互にくり返す
・便が少量で硬くてコロコロしている
・食欲がない精神的なストレスによって自律神経のバランスが崩れると、腸が過敏になって便秘や下痢を引き起こす。
比較的若い人にも起こりやすい。
直腸(便がたまる大腸の最終場所)内圧に対する感受性の低下によって起こる症状:
・いきんでも少ししか便が出ない
・排便後も残便感が強い
・下剤を使っても効果がない
・野菜や果物などの食物繊維を多く摂っても効果がない直腸まで便が到達しているにもかかわらず、便意が伝わらず骨盤底筋が緩まないため便が押し出されていかない。加齢によって便意を感じにくくなっていたり、出産により直腸壁が弱くなっていることで起こりやすい。
排便のタイミングにがまんしてしまうことがあると、直腸性便秘になりやすい。
高齢者や寝たきりの人のほか、学校でトイレをがまんしてしまう子どもや若い女性にもみられる。便秘対策として基本的なことはどのタイプにも共通していますが、「このタイプには効果があるが、ほかのタイプには逆効果」というものもあります。ポイントを押さえて『快便生活』に取り組みましょう!
便秘でもっとも多いタイプの弛緩性便秘は、筋力の低下がおもな原因です。便をスムーズに押し出せるよう下半身の筋力アップをはかりましょう。
また根菜や緑黄色野菜などの不溶性の食物繊維をたっぷり摂ることが食事の重要ポイントです。・白米より玄米や胚芽米、うどんよりはそば、のように“茶色”の主食には食物繊維が豊富!
・豆類は皮に食物繊維が豊富なので、皮ごと食べるように意識して!
ストレスの原因をできるだけ取り除くようにしましょう。趣味に没頭してみたり、適度な運動をすることで自律神経を整え、ストレスを解消することができます。このけいれん性便秘には不溶性の食物繊維が逆効果になることがあります。
自分の便秘のタイプに応じて調整するようにしましょう。
朝はたっぷりの水分と朝食をしっかり摂って便意をおこす腸のセンサーを作動させましょう。たとえ便意がなくても朝のトイレタイムを習慣にすれば排便リズムが身についてきます。
便が出ない朝もトイレで3分ほどリラックスして座り、おなかをマッサージしてみるとよいでしょう。