子どもの歯って、目にまぶしいほど真っ白に輝いていますよね。それが年をとるにつれて黄色みを帯びてくるのはなぜでしょうか。
もともとの歯の色は、髪の色や肌の色のように、人それぞれ個人差があります。年をとるとつやのある黒髪が白髪まじりになるように、歯の色も加齢とともに少しずつ黄色みが濃くなっていきます。
それに加えて飲食物などの色素が歯の表面に付着することでも、歯が黄ばんでしまうのです。歯の表面は半透明の“エナメル質”で覆われています。その下に“象牙質”という黄色い層があり、さらにその下には歯の神経である“歯髄”があります。
エナメル質は透明なので、その内側の象牙質が透けて見えます。これがその人の持つ本来の歯の色になります。乳歯の時期の子どもの歯は、真っ白でとてもきれいですよね。乳歯が抜けて永久歯が顔を出すと、「あれっ!?」と思う親御さんも多いのではないでしょうか。
永久歯は、乳歯の時より黄色みの濃い歯に変わっています。実は、乳歯の時も象牙質は透けて見えているのですが、表面のエナメル質が白っぽく不透明なため、中の象牙質の色が鮮明には見えていないのです。
それが永久歯になると、乳歯の時よりエナメル質の構造がしっかりして透明度が増すために、内側の象牙質が鮮明に透けて、黄色く見えるのです。
すなわちエナメル質の透明度が高い歯は、硬くて丈夫で黄色っぽい歯ということになります。見た目には白い歯のほうが丈夫で健康的に見えますが、乳歯がそうであるように、本来の歯の色で質がよく健康的なのは、白い歯より黄色い歯なのです。
◆ 加齢による変色
年をとると、エナメル質はどんどんすり減って薄くなってきます。一方、象牙質の色はだんだん濃くなっていきます。◆ 抗生物質による変色
妊娠中の母親がテトラサイクリンという抗生物質を服用したため胎児の歯の色に影響を及ぼしたり、永久歯が形づくられる7歳ごろまでの幼児期に服用していた場合に影響を及ぼします。◆ 神経を抜いた歯の変色
神経を失ったため象牙質に栄養が届かなくなってしまい、時間が経つと歯が内側から黒ずんできたりします。◆ 飲食物による着色
色の濃い食べ物(ブルーベリー、カレー、チョコレートなど)や、渋の強い飲み物(コーヒー、紅茶、赤ワイン)などの色素がしだいにエナメル質の中に染み込んでいきます。◆ タバコによる着色
ご存じの通り、タバコのヤニも歯の黄ばみの大きな原因になります。歯に色素沈着しやすい成分として代表的なものに、ポリフェノールがあります。
一口にポリフェノールといっても、様々な種類があります。ここでは歯に着色しやすい種類をあげてみましょう。歯の着色汚れを防ぐために大切なのは、毎日の歯磨きです。
食後の歯磨きにステイン除去成分入りの歯磨き剤を使ったり、歯磨きする時間がないときは、水を多めに飲むなど心がけると良いでしょう。また、歯医者さんでの定期的なクリーニングや、変色による歯の黄ばみが気になる場合は専門クリニックでのホワイトニングなど、自分に合った方法で自然な白い歯を取り戻すことができます。