緊急事態宣言が解除され、私たちの生活も『社会的距離』を保ちながら、徐々に新しいカタチの日常を取り戻し始めています。
緊急事態宣言を受けて、痛みを伴う緊急以外の治療を一時的に休止していた歯科医院や、感染対策として自身の判断で治療を中断していた方もいらっしゃるでしょう。また、コロナ禍以前からさまざまな事情で途中で治療を中断してしまっている、という方もいるかもしれません。
・応急処置のまま放置すると…
来院時に痛みがひどい場合、歯の周りをクリーニングしたり、切開して膿を出すなどの応急処置をおこないます。
その後、治療内容や治療計画などを説明し、次回から本格的な治療に移る場合が多いです。応急処置によって一時的に症状は改善されますが、根本的な原因が取り除けているわけではありません。
そのまま治療を中断してしまうと、以前にも増して症状が悪化してしまいます。・仮歯のまま放置すると…
正しい噛み合わせを調整するためや、被せ物が出来上がるまでの間は仮歯をつけます。ある程度噛めるようになり審美性も保たれるため、その後の通院がおっくうに感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、仮歯はプラスチック樹脂でできているため長期間の耐久性はありません。仮歯のまま治療を中断してしまうと、仮歯がだんだんとすり減ってしまい、噛み合わせ調整のために装着していたはずが逆に噛み合わせを悪くしてしまったり、更に歯を削ることになってしまうこともあります。そうなるとせっかく作った被せ物も合わなくなり再調整が必要になったり、最悪の場合は作り直しになってさらに時間と経費がかかってしまうことにもなりかねません。
・歯の神経を取ったまま放置すると…
歯の根っこの治療は痛みが無くなった後も数回通院が必要となることが多く、治療の中断を招きやすい傾向にあります。
歯の内部は外部に比べてとても弱いため、放置すると歯の根っこが汚れてしまい、そこからまたむし歯になってしまうことがあります。また、神経を取ると歯に栄養がいかなくなってしまうため、ちょっとした衝撃で歯が折れてしまったり、ひどくなると抜歯をしなければならなくなることもあります。
歯の治療は「痛くなくなった=完治」ではありません。また風邪などと違って安静にしていれば治るものでもありません。
歯科治療の中断は現状維持どころか、治療前の状態に逆戻り、さらにはもっと悪化させてしまうこともあるのです。予約を忘れてしまって行きづらい方もいると思いますが、「すみません、予約を忘れてしまって…」と思いきって再度予約の電話をしてみてください。
また歯医者さんからの「現在の治療状況」や「今後の治療計画」についての説明で、不安に思っていることや疑問に感じていることがあれば伝えましょう。
ドクターに言いにくい時は話しやすいスタッフでもかまいません。
費用や期間などの目安がわかれば安心して治療を続けることができます。歯へのダメージを最小限に抑え、新たなトラブルを招かないためにも、治療が終わるまできちんと通院することが大切です。
感染症に対する設備や機器への滅菌消毒など衛生面の徹底はもちろんですが、現在は新型コロナウイルス対策としてソーシャルディスタンスなどにも配慮して治療が行われています。