私たちは生まれてから今この瞬間まで、ずっと休むことなく呼吸し続けています。
安静にしていて1分あたり15~20回、1年におよそ1,000万回、そして人生80年とするとその呼吸数は8億回にもなります。しかし今世界中では、新型コロナウイルスの感染によって肺炎を引き起こした多くの人が、呼吸困難に苦しんでいます。
私たちは一人ひとりが今できる最大限の予防対策を徹底して、感染拡大の防止に努力していきましょう!今号では、肺や気管支などの呼吸器の病気についてご紹介します。
現在、世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス(COVID-19)は、インフルエンザや風邪などと同じ『感染性呼吸器疾患』です。
そのほかに、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といったぜん鳴が起こる気管支ぜんそくや、長年の喫煙によって肺機能が低下して起こるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、そしてすべてのがんの中でも死亡率の高い肺がんなどがあります。
ぜんそくは気管支の粘膜に慢性的な炎症が起こり、なんらかの刺激がきっかけで発作的に気道が狭くなり呼吸が苦しくなる病気です。
原因の多くはダニやカビ、ハウスダストなどによるアレルギーといわれています。子どものころのぜんそくが再発したり、成人してから発症したりすることもあります。
発作の起こりやすい時期(季節の変わり目や天候不順)や時間帯(夜間や明け方)が決まっているのが特徴です。
COPDとは、たばこをはじめとする有害なガスを長期的に吸い込むことにより、ゆっくりと進行する肺の生活習慣病です。空気の通り道である気管支が炎症を起こしたり、その先にある細気管支や肺胞がつぶれて、肺への空気の出入りがうまくいかなくなり、せきや息切れ、呼吸困難があらわれます。
肺がんは早期に発見できれば手術や放射線治療で治る確率の高い病気ですが、症状が出にくいため、発見された時には進行している場合が多く、治療が難しいがんの一つといわれています。国は40歳以上の人に年1回の検診をすすめています。
COPDや肺がんの最大の危険因子は喫煙です。
喫煙者は年々減少傾向にあるものの、まだ30~40代男性の約4割が喫煙者であるとの調査結果もあります。
(厚生労働省「2018.国民健康・栄養調査」より)また、近年は非喫煙者の受動喫煙による肺がんなどの病気のリスクも報告されています。
たばこを吸う人も吸わない人も、年1回の肺がん検診を受けましょう。そして現在喫煙している人は、自分の健康のためにも周りの家族のためにも、今すぐ禁煙を始めましょう!
「加熱式たばこ」は、たばこ葉やたばこ葉の加工品を電気で加熱することで煙を発生させるもので、その蒸気には紙巻きたばこと同じニコチンやタール、アセトアルデヒドなどの発がん性物質が含まれています。
「電子たばこ」は、専用カートリッジ内のリキッド(液体)を加熱して水蒸気を発生させるもので、電子たばこが主流となっている米国では、大麻関連成分が含有されたリキッドを使用した電子たばこによる健康被害が報告されています。
参考)*一般社団法人日本呼吸器学会:資料
*厚生労働省:資料
*国立がん研究センター:がん情報サービス