この地球上にはたくさんの種類の動物がいますが、脊椎動物(哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類、魚類)と呼ばれる種類はほとんどが歯を持っています。
歯は動物によって、何度も生えかわるもの、生えかわらないもの、どんどん伸び続けるもの、生え方や形、本数など、さまざまな特徴があります。それは、どんな場所でどんな種類のエサを食べているかで違います。
エサの違いや環境によって、それぞれがもっとも適した特徴的な歯を持つようになったのです。私たちヒトも含めて、この仲間に入る動物はほとんどが次のような特徴を持っています。
・乳歯と永久歯があって、一生の間に一度だけ生えかわる ⇒ 『二生歯性』
・歯の数が決まっていて、切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯の4種類の形がある
⇒ 『異形歯性』・歯の根の部分が顎の骨の中に埋まっている
肉食動物の代表といったら、まず思い浮かぶのはやはり「百獣の王ライオン」です。他にもトラ、オオカミ、身近な動物ではイヌやネコもそうです。
同じ肉食動物でも環境によって大きく違うのは、なんといっても牙の大きさと鋭さでしょう。野生の中では、獲った獲物は自分の牙だけでさばき、食べなければなりません。
肉をひき裂き、骨を噛み砕いたりできるように、鋭く尖っています。この牙とは犬歯のことで、私たちヒトにも犬歯と呼ばれる歯はありますが「牙」のような歯ではありません。
道具を使って獲物を捕え、火を使って調理をするようになったヒトの犬歯は、鋭く尖っている必要がなくなったのですね。
草食動物というと、ウシ、ウマ、キリン、ゾウ、シカ、ヤギなど、たくさんいます。
草や木を主食にしている彼らの前歯は門歯(もんし)と言い、草木を噛み切るためにとても発達しています。でも、短い草を好むウマの仲間と、長い草を好むウシの仲間では、前歯に大きな違いがみられます。
・ウマ、ロバ、サイなどの奇蹄類(ひづめが奇数)
上下に前歯があり、ちょうど毛抜きの先端のように ぴったりと噛み合うため、短い草も上手に引き抜くことができるようになっています。・ウシ、キリン、ヒツジなどの偶蹄類(ひづめが偶数)上の前歯がなく、代わりに歯板という固い歯ぐきがあり、舌で長い草を巻きつけて引っ張り、歯板を“まな板”代わりに、下あごの前歯を“包丁”のように使って切り取ります。
草は消化されにくいため、「反すう」といって一度食べた物を噛み返すことによって消化しやすくしています。
ゾウの牙は犬歯ではなく切歯が発達したものですが、これは常生歯(無根歯)といって常に伸び続けています。他にもリス、ウサギ、ビーバーなどのげっ歯類の前歯も常生歯で、固いものを食べて歯をすり減らし、伸びすぎないようにしています。
私たちヒトと同様、肉や野菜などなんでも食べる動物にはどんな種類がいるでしょう。
クマやサル、キツネ、タヌキ、ブタなどたくさんの動物がいます。歯の特徴も肉食動物と草食動物の両方を持ちあわせています。前歯はハサミのように食べ物を噛み切りやすく、奥歯は臼のように食べ物をすり潰します。
雑食動物の歯はどの歯も平均的に発達しているのです。イノシシの犬歯も常生歯で、上を向いて伸びている上あごの犬歯と、左右に開いた下あごの犬歯が特徴的です。
草食動物のあごは草の繊維をよくすりつぶせるように、上下左右に大きく旋回しながら咀嚼できるしくみになっている。
一方、肉食動物のあごは上下にしか動かない。獲物をガブリと一撃し、「裂肉歯(れつにくし)」と呼ばれる先のとがった臼歯で肉を引き裂いて食べる。